緑茶成分が口腔がん細胞を殺すメカニズムが明らかに

2015.2.4 EurekAlertより 
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=47819&-lay=lay&-Find

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緑茶に含まれる化合物が、健康な細胞を残しつつも口腔がん細胞を死滅させるサイクルを引き起こすことがペンシルベニア州立大学による研究で明らかとなった。本研究は口腔がんだけでなく、他のタイプのがんの治療につながる可能性がある。

初期の研究では、緑茶に含まれる化合物であるエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)が、正常細胞を傷つけることなく口腔がん細胞を殺すことが示されたが、がん細胞を標的とする緑茶の能力の原因は明らかにされていなかった。しかし本研究により、細胞死を引き起こすミトコンドリア内のプロセスをEGCGが誘発していることが示された。

ジョシュア・ランバート准教授は「EGCGがミトコンドリアを損傷する“何か”をし、そのミトコンドリアの損傷がより多くのダメージを与えるサイクルを起こし、細胞がプログラムされた細胞死にいたるまでこの悪循環が続くのである。どうやらEGCGは、がん細胞内でミトコンドリアに損傷を与える活性酸素種の形成を引き起こし、ミトコンドリアがさらに活性酸素種を作り反応しているようだ。EGCGは酸化ストレスの原因であると同時に、保護メカニズムをオフにしているのである」と解説している。

このミトコンドリアの崩壊が続くとがん細胞はさらに、防御を低下させる抗酸化遺伝子の発現を低下させる。EGCGは正常細胞ではこの反応を引き起こさず、逆に細胞の保護能力を高めるようだ。

研究チームは、ペトリ皿で正常な細胞とがん細胞を成長させ、その後緑茶のチューインガムを噛んだ後に唾液中に含まれる程度の濃度のEGCGに曝露させた。酸化ストレスと抗酸化反応を測定した。ミトコンドリア機能と酸化ストレスを測定する蛍光染料を用いた写真による画像処理により何が起こっているかを確認した。

その結果、サーチュイン3 (SIRT3)と呼ばれるたんぱく質がこのプロセスで不可欠であることを発見した。

ランバート准教授は「SIRT3はミトコンドリア機能と体内の組織の多くにおける抗酸化応答に重要な役割を果たしているため、EGCGはがん細胞ではオフにし、正常細胞ではそれをオンにするというように、がん細胞内にあるSIRT3の活性に選択的に影響を与えている可能性がある。これはいろいろな種類のがんに適用されるだろう」と述べている。

研究チームは今後動物でのメカニズムを研究する予定である。動物試験とヒト試験が成功すれば、現在の治療と同じぐらい有効だが副作用のない抗がん治療の開発されるかもしれない。

出典は『分子栄養と食物研究』。 (論文要旨)  

・LINK de DIETより抜粋 
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=47819&-lay=lay&-Find