成人の骨密度を8%アップする低重量高反復回数運動

2015.10.27, EurekAlertより 
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=51670&-lay=lay&-Find

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低重量で反復回数をたくさんとるような運動を行う事によって、成人の骨密度が有意に増加できるようだというペンシルヴェニア州立大学の研究者に夜研究。いわゆる『レス・ミルズ・ボディ・パンプ・プログラム』と呼ばれるフィットネスプログラムについての研究成果である。これまでの考えでは、骨に最適な刺激を送るためには高強度の運動が必要とされるという前提が存在した。被験者はボディ・パンププログラムで、脚、腰椎、脊椎の骨密度が最大8%増加したという。

低重量高反復回数のトレーニングは高齢者で座りがちな人々の骨密度維持と改善に有益かも知れない,という一つ目の報告と、閉経後女性優れているのは、ある低骨密度女性が低重量高反復回数のトレーニングによって利益をうる可能性があるという発見の二つが報告されている。

これらの知見は、これまで考えられて来たような、骨密度の増進の為には高重量低回数の刺激が理想的であるという前提を覆すものである、と研究者は指摘する。低重量高反復回数はどのような人でも行う事ができる簡単な運動であり、骨が脆弱になるリスクのある層に対して骨粗しょう症リスクを低下させるのに役立つ可能性があるのだ。

最初の発見については20人の非トレーニング熟練者の成人を対象に検討した。ここで言う非熟練者とは、過去6ヶ月間にわたって週当たりの運動を30分未満しか行っていないものを指している。これら被験者は27週間のグループエクササイズプログラムに参加した。被験者は全身のウェイト・トレーニング・ワークアウト群と、体幹部及びエアロビックトレーニングを中心としたプログラム群に大きく二分して割り当てられた。ウェイト群は週当たり2~3回のボディパンププログラムを実行した。このプログラムでは、低重量高反復回数のレジスタンストレーニングであり、軽量化されたバーベルのバーと自己選択での付加分ウェイトを装着して行う事ができる、一種のサーキットトレーニングプログラムである。

結果、以下のことが明らかとなった。

・ウェイト群では脚部において8%の骨密度増加が見られ、腰椎で7%、脊椎で4%の骨密度増加が見られた。一方で、体幹プログラム群では骨密度の有意な増加は見られなかった。

・閉経後女性と骨粗しょう症患者では有意に骨密度が増加し、最大29%の増加が見られた。

・スクワットエクササイズと腰椎の骨密度の間に相関性が見られ、この関係性はこの様式の運動を行う事によって大腿骨頚部骨折を効果的に抑制できる可能性が期待できるものであるということができる。

 

本研究には、2人の骨粗しょう症患者と3人の閉経後女性が被験者となって参加していた。双方とも骨密度がそれ以外のグループに比べて大幅に増加している。また、ウェイト群では体幹群に比べて25%骨密度の増加が亢進したほか、脚部の骨密度の増加は腰椎の骨密度増加と強く相関している事も分かったのだ。

全米骨粗しょう症協会が発表したところによれば、2020年までにおよそ1,400万人の50歳以上の人々が骨粗しょう症になる恐れがあり、さらにもう4,700万人の人が骨密度低下を経験すると推定されている。40歳以降、骨密度は加速度的に低下することが知られていて、そのためその年代に至る前に骨量のピークを持っていき、そしてそれを維持する事が、後年の骨密度低下を予防する為には決定的に重要なのだ。

骨粗しょう症のある高齢者においてもっとも一般的かつ致命的な骨折部位は大腿骨頸部である。研究者によれば、転倒関連の死亡の大多数は大腿骨頸部に関わる症状によって起こっている事が報告されていて、ケガをしたその1年以内に大腿骨頸部骨折の患者が死亡に至るリスクは5人に1人であるというのだ。脚部及び腰椎の骨密度を健康的に保つことは寝たきりになってしまうような生活の変更をともなう骨折を予防する役に立つことが期待できる。また、低重量高反復回数の運動は全身の筋力を増進していく上でも有益な運動であるのだ。

高重量をリフティングすることで骨密度が増進する事はこれまでも確認されてきているものの、多くの高齢者や身体活動習慣のない成人にとっては安全に高重量をリフティングする活動に参加するにはハードルが高い。ボディ・パンプ・プログラムが優れているのは、高反復回数のコリオ(振り付け)を自在に作っていくことができること、またインストラクターによって漸進的なプログラムを構築可能であることで、これらによってどのような体力を持ったものであったも筋力や骨密度の増加を期待して運動することができることである、とその利点についてレス・ミルズ・プログラムの関係者が語っている。

 

出典は『スポーツ医学身体フィットネス雑誌』。 (論文要旨)

LINK de DIETより抜粋
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=51670&-lay=lay&-Find