世界の春節~マレーシア~

日本ではお正月気分も落ち着き、気づけば2月。バレンタインデーのデコレーションで盛り上がる季節。でも所変われば、まだ「年末」で新年を楽しみに待つ人々がたくさんいますよ。

そう、春節(旧正月)です。アジアの多くの国々では、旧正月に向けて盛り上がりをみせています。春節とは旧暦の正月のこと。2013年は2月10日(日)です。

ところで春節を祝うのは中国だけでしょうか?

いやいや、違います。台湾、韓国、北朝鮮、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、インドネシア、モンゴルと多くの国でも休日となって祝われています。またアメリカ、ヨーロッパなど世界各地のチャイナタウンでも春節を祝ってにぎわいをみせます。横浜中華街もそのひとつです。

さて、今回はマレーシアの春節の様子をレポートしましょう。
マレーシアは主にマレー系、中華系、インド系からなる多民族国家で、各民族のイベントがすべて尊重されているので、西暦1月1日のお正月に加え、それぞれのお正月があり、なんと年に4回もお正月があります。中華系にとって一年で一番楽しみなのがこの春節ですね。

クリスマス明けから1月1日にかけては全く装飾もなく、お正月の雰囲気がないどころか、有名ホテルでさえクリスマスツリーが出しっぱなしで、正月の文字は日系のフリーペーパーの広告のみ。日本人にとってはちょっぴり寂しい年末年始であった一方、1月中旬になると、一斉に街は赤一色に様変わり。

スーパー、デパート、ショッピングセンター。どこに行っても春節ムードに溢れ、春節用のプレゼントがいっぱい並べられています。

豪華なギフトセット。中身はお菓子が数種類に、高級なお酒やツバメの巣などが入っているものも。金額は、日本円で3000円ぐらいから3万円を超えるものも。結構なお値段です。

たくさんのお菓子が売られています。
旧正月には、日本のお正月と同様、家族で食卓を囲んだり、親戚回りをするので、訪問時や来客用にたくさんのお菓子が必要なんですね。

左上:パイナップルタルト。ベーカリーやスーパーでお馴染みの定番のマレーシアのお菓子。春節用にいつもよりちょっぴりお洒落にラッピングされています。
右上:フォーチュンクッキー。さくさくとした薄焼きのクッキーの中にはおみくじが。
左下:みかん。日本の門松のように、お飾り用と、贈答用が売られています。
右下:スーパーにあったお餅のお菓子。どんな味なんだろう・・ちょっとチャレンジする勇気が出ず。

さて、マレーシアの旧正月料理で目玉となるのはイー・サン(魚生)でしょう。中国本土にはないマレーシア独特の一皿です。
大根、ニンジンなどカラフルな野菜に、くらげ、しょうが、クラッカー、香辛料などが盛られた上に、刺身(サーモンや白身の刺身など)が散りばめられた一品で甘酸っぱいたれをかけていただきます。魚生という割に刺身の量は少なく、海鮮サラダのような感じでしょうか。

この料理は、前菜として一番始めに提供されますが、いきなり食べてはいけません。大切な儀式があるのです!

その儀式とは?
まずは乾杯をしたら、みんなで一斉にお箸をイー・サンに突き刺します。 そして中の食材をできるだけ高く持ち上げ、願いごとを言いながら混ぜます。 高く持ち上げて混ぜた人ほど今年の運が高まるのだそうです! マレーシアンチャイニーズらしい、にぎやかで楽しく一風変わった習慣ですね。

新聞にもイー・サンの話題、広告がたくさん。老舗レストランの今年のスペシャル・イー・サンの紹介や、予約注文、宅配サービスの宣伝など、日本でいうクリスマスケーキかおせち料理のような扱いでしょうか。スーパーにはイー・サンセットも。

日本で春節気分を味わいたくなったら・・?
横浜中華街に足を運んでみましょう!

reportedby 菅原研究所 和田麻紀子