2015.2.20 EurekAlertより
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=48064&-lay=lay&-Find
延命タンパク質であるクロトーのレベルを上げると、アルツハイマー病となったマウスの認知機能が改善され、学習・記憶障害から守ることができるようだ。グラッドストーン研究所とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)による研究。
驚くべきことに、アミロイドβやタウなどの脳内のアルツハイマー病による毒素が蓄積していても、認知能力の上昇が起こったという。
クロトーは加齢とともに自然に減少し、それにより認知能力も低下する。研究チームによる以前の研究で、クロトーレベルを増加させる遺伝子変異があると、正常で健康な人において認知力が良くなり、マウスにおいて実験的にクロトーを上昇させても、学習・記憶能力が増強されることが明らかとなった。しかし、アルツハイマー病のような加齢に関連する認知障害がある人に対するクロトーの影響は不明であった。
クロトーの予防効果を検証するために、研究チームは体全体でこのタンパク質を高レベルで生成するアルツハイマー病マウスモデルを作成した。通常アルツハイマーモデルマウスは、認知障害・異常な脳活動・早死にとなるが、クロトーレベルを上げるとこうした問題が改善された。タンパク質の認知機能増強効果は、アルツハイマー病による毒素の影響を打ち消すほど強力であった。
UCSFのディーナ・デュバル助教は「健康なマウスを賢くするだけでなく、脳にアルツハイマーによる毒素に対する耐性をつけることができる。この複雑な疾患自体をターゲットにすることはできないが、回復力を強め、脳機能を高めることができる」と述べている。
おそらくクロトーの効果は、学習と記憶に非常に関与しているNMDAと呼ばれる脳内の神経伝達物質受容体に対する効果によるものと考えられる。アルツハイマー病はNMDA受容体を阻害するが、クロトーが上昇したマウスの受容体レベルは正常なままであった。さらに、これらのマウスは、対照マウスよりもNMDAのサブユニットであるGluN2Bが多かった。この増加がクロトーの保護効果の原因であり、脳のアルツハイマー病による毒性の有害な影響を打ち消している可能性がある。
今後研究チームは、クロトーレベルを上げるか、クロトーが脳に与える影響を模倣することができるような薬を特定し、テストを行う予定である。
出典は『神経科学雑誌』。 (論文要旨)
・LINK de DIETより抜粋
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=48064&-lay=lay&-Find