「和風月名: 6月」

旧暦の6月は水無月と呼び、漢字で書くと「水無月」となります。
これはどう意味なのでしょう。

水無月

漢字を一つずつ読み解くと、水無月は「水が無い月」となります。ですが、実は「無」という言葉は、日本語の古典文法において名詞と名詞をつなげる助詞として働くので、水無月は「水の月」と解釈されます。

では、なぜ6月が水の月と呼ばれるようになったのでしょう。

20150603水無月の前月である皐月は田植えをする時期とお話しました。つまり、稲の植え付け(皐月)が終わり、田んぼに水を張る時期=水の月、水無月と呼んだのが由来とされています。

他にも田植えに関連した説で、田植えが大規模で骨折る作業であり、地域の住民みんなが協力して行うものであったことから、その作業が終わった頃、つまり皆の力が尽きた月、皆尽月=水無月と呼ばれるようになったとも言われています。

現代で使用している新暦カレンダーの6月のページに水無月と書かれているのを見ると、6月が梅雨時期だから水無月という表現が当然のように無意識に感じている人が多いと思います。しかしながら、当時の水無月は7月下旬から8月上旬のころを指していたように、旧暦と新暦にはズレがあるため、この説は現実味が薄く、梅雨だから水の月との発想は現代人のこぎつけと言えるでしょう。それよりも、当時の水無月の頃は、梅雨が終わった後の真夏の暑い時期であり、文字通り、水が枯れ上がって無い、「水の無い月」という解釈が正しいのかもしれません。

どちらが正解かどうかは別として、和風月名を読み解くだけでも、いかに日本人が自然と寄り添い、自然を肌で感じながら生活をし、その中で言葉を作り上げていたことがわかります。また、一つの言葉に対し、同音異義の言葉を用いることで当時の状況をこんなにも事細かに描写できる日本語は本当に奥深いと感じます。