いまどきの社員食堂

先日、会社時代の先輩が働く会社を訪問し、社員食堂でランチをごちそうになりました。訪ねた先は大企業の一部門で立派なビルですが、15階にある社員食堂は、窓が大きく都心のビル群が見渡せ、内装はホテルのラウンジのようにキレイでびっくり。食事もヘルシーメニューが豊富で、見た目も美しい。まさしくいまどきの社員食堂です。

わたしがいただいたのはヘルシーメニューのひとつで、鱈の香草焼き定食でした。メインが魚のフライに見えますが、揚げていません。ハーブとスパイスを利かせ、その分薄味になっています。付け合せの野菜がたっぷりで、満足感もあり、さっぱりといただけました。ご飯を少しにしてもらったので、これだけ食べても500kcal未満だったと思います。

多くの人が認めるとおり、ここ数年で、企業の社員食堂は劇的な変化を遂げました。食堂の内装や雰囲気が洗練されたこともありますが、なにより食事の中身自体が変わったのです。元々、社員食堂では、社員が外で食事を摂る時間や不便を解消し、十分な休憩を取ってもらうための居場所を提供することを第一目的としていました。

ところが、近年生活習慣病の予防が重要視されるようになったことを背景に、体脂肪計メーカーが社員食堂の食事で社員の体重管理に成功した事例が話題になりました。管理栄養士が野菜たっぷりでカロリーを抑えたおいしいメニューを考案、提供したことで社員の肥満を解消することができたのです。その社員食堂のメニューはレシピ本として次々出版され、いまや累計500万部を突破し、そのエピソードが映画化されるまでに至ったのです。このいきさつは、この健康機器メーカーの名を有名にしただけでなく、社員食堂と同じメニューを出すレストラン事業への発展をもたらすことにもなりました。

この社員食堂の成功に倣い、他の企業も社員食堂の充実をはかるようになってきたようです。前世紀までは、会社や学校の食堂では質より量が重視され、栄養や味は二の次でした。わたしが訪ねた会社の社員食堂では、食事内容の改善に加え、最近になって内装を一新し、夜は社内のパーティーや、取引先の接待にも使えるようにしていると聞きました。価値を生み出す社員食堂という位置づけです。

21世紀以後の日本は、量より質を求め、新たな価値を生み出そうとする成熟した社会に移行しつつあります。そんな価値観の変化を、いまどきの社員食堂に見たような気がしました。

Reported by 菅原研究所 青池ゆかり