福島の遺産

2014.8.18 EurekAlertより 
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=45639&-lay=lay&-Find

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福島の放射線が植物・昆虫・動物に及ぼした生物学的影響に関する一連の研究をまとめた論文が発表された。サウスカロライナ大学(SCU)などによる研究。

1986年のチェルノブイリ原子力発電所のメルトダウンの研究の失敗を二度と繰り返さないため、科学者は2011年の福島第一発 電所のメルトダウン後わずか数ヶ月で生物学的情報を収集し始めた。こうした研究により、植物から鳥に蝶に至るヒト以外の生物に対する福島の放射能の深刻な 生物学的影響が明らかになり始めている。

・筑波大学による研究
 放射線のお米への影響を検討するため、福島県内の汚染地域で健康な苗を低レベルのガンマ放射線に曝露させたところ、3日後に数々の影響が見られた。DNA複製やストレス反応の修復から細胞死に至る、自己防衛に関与する遺伝子の活性化が観察された。

・琉球大学による研究
日本で最も一般的な蝶の種類であるヤマトシジミチョウの福島での放射線被曝の影響を検討したところ、福島で発見されたチョウと、汚染地域で収集したチョウの子を実験室で育てたときにも、小型化・成長の遅れ・高い死亡率・形態異常が認められた。

このチョウ研究では、曝露源は複数であった。汚染されていない幼虫に、原子炉の近くで収集した汚染植物の葉を与えたところ、奇形と死亡率が高くなった。また、福島の蝶における放射線耐性の進化を示す結果も出たという。

サウスカロライナ大学による研究
チェ ルノブイリと福島の様々な種に関する遺伝的・生態学的研究のレビュー研究により、放射線の深刻な結果が明らかとなった。福島での鳥・蝶・セミの人口センサ スにより、放射線被爆による大幅な減少が見られた。ツバメの異常な羽といった形態学的影響も観察され、研究チームはチェルノブイリの 長期研究が、福島地域の将来の影響を予測できると示唆している。

これらの研究は全て、偶発的な放射線放出地域での早期かつ継続的に監視する必要性を強調している。

SCU のティモシー・ムソー教授は「福島の災害による放射線の放出により、鳥・猿・蝶・他の昆虫が影響を大幅に受けていることを示す研究が増えつつある。自然集 団への遺伝的影響を詳細に分析することで、福島の野生コミュニティーだけでなく、将来原子力事故が起こった際に回復時間を予測するために必要な情報を提供 することができるだろう。福島の野生動植物の基礎科学研究を進めることが緊急に必要だ」と述べている。

出典は『遺伝形質学雑誌』。 

LINK de DIETより抜粋 
http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=45639&-lay=lay&-Find