バリ報告 - グリーンスクール

インドネシアのバリ島、ウブドに、自然の中にすっぽりと包まれ、教育を通じ生徒の自主性と想像力を最大限に育もうとする意欲的な学校が、5年前の2008年に発足されています。その学校の名前はグリーンスクールと言います。

この学校では現在、幼稚園児から高校生まで270名が学んでいますが、なんといっても個性的なのは、校舎が芸術的な太い竹だけでできているところでしょうか。その佇まいの美しさにまず圧倒されます。3階建ての2つのユニットが合体したそのフォルムは、まるで環境・サステイナビリティーを最大限追求した万博のパビリオンのように、世界中から訪れる人が行列を作って見るだろうと思わせるような建物です。窓ガラスはないので、多分そのまま教室にいれば、雨風を直に経験することになりそうです。 でも3階建ての校舎には、図書室も、コンピュータルームもちゃんとあります。

この学校のモットーは、21世紀を担う子供たちに、地球人としての責任を全うする力とリーダーシップを身につけて欲しいというものです。 普通の学業はもちろん、キャンパス内では有機農法の実践や家畜の飼育、チョコレート作りといった実習もあり、地元バリの文化から切り離されることのないよう、スカラシップを通じ地元の子供たち19名を教育しているのも良い感じです。

もちろん、この学校で使う電力はソーラーで賄っています。壁紙がないので、遠くのパノラマ風景を楽しむこともできるし、基本竹の教室にいく子供たちは裸足が多く、すでに自然児ということを実感させられます。
この学校はアユン川沿いの8ヘクタールの土地にキャンパスが広がっていて、川にはバリを象徴するような屋根付きのくるくる橋という竹の橋がかかっていて、それを渡るとゲストハウスに行けるようになっています。

授業料は60万円。一般のインターナショナルスクールはおよそ360万ぐらいなので、それよりはかなり安いけれども、インドネシアの教育費よりは高いです。
創立者のMR. John Hardy に話を聞きました。「まだ発展途上のこの学校には、世界中から入りたいという家族がやって来ます。今の一般の学校は詰め込み教育で、子供の目は死んでいる。学校はまるで牢獄のようで、言われたように行動しなければ、はみ出し者扱い。これは教育とは言えません。ここでは子供たちは自由研究で色々なことをコンピュータでまとめ、皆の前で発表しています」

ちょうど私が取材している時、海の日フェスティバルの日に魚の自由研究があり、数が減りつつある特別種をどうしたら今後増やせるかというテーマで、12歳の子が20分の発表をしていました。 算数では、同学年の子供がネット上で問題をヨウイドンで解くゲームをやっていて、楽しみながら算数をやっている姿を見て、なるほど、コンピュータで世界にアクセス出来る時代だからこそ、高いレベルの勉強から遅れることもなく、個性と基礎力の両方を手に入れるという難しいテーマをクリアできているのだと納得させられました。

エコな学校はいいけど、いざ大学に進学しようというときになって、実は大学に入る実力はない、では問題です。ちょうど今年7名が大学受験の時期にありましたが、全員望んだ大学に入れ、良い結果が出て、学校側もさらに自信をつけたという感じでした。

食事も添加物のない美味しいもので、子供達は健康に恵まれ、清涼飲料水やジャンクフードとも縁がなく、それだけでもすごいことだと感動しました。学校には、大人が楽しめるカフェテリアもあり、美味しいオーガニックサラダとオーガニックパンのセットがあり、その美味しさが本物で、学校で育てたもので作っている料理。だから美味しい。と納得の上にも納得という感じでした。 日本人の子供も数人いてのびのび、英語も堪能でこんなところで教育を受けたら、大学を出た後からがすごく楽しみな人材になるだろうと思いました。