ラジオ体操のすすめ

先日、今年小学校に入学した息子の学校行事で、ラジオ体操をする機会がありました。ラジオ体操をするのは何年ぶりでしょうか。きっと高校時代までは体育の授業でやっていただろうから、かれこれ20年くらいでしょうか。その間も趣味でスポーツをしたり、スポーツジムに通ったりしていたにもかかわらず、この単純で簡単なラジオ体操しただけで、体がギシギシ言っているような気がしました。同時に清々しい爽快感を感じました。日常的にラジオ体操をする機会があった学生時代は、なんとも感じなかったのに、不思議です。

日本人ならラジオ体操を知らない人はいないでしょう。ラジオ体操は国民の健康促進を目的に1928年(昭和3年)に作られ、「国民保健体操」という名称でラジオ放送され、たちまち日本全国へ普及しました。その後、1951年ごろに再編成され、現在の「ラジオ体操第一、第二体操」となりました。

ラジオ体操は運動前に行う定番の準備運動となり、学校の体育の授業前や運動競技前、または工事現場など、肉体労働を行う職場では毎朝の朝礼で行われています。これから体を動かすということを心身ともに意識させるためです。他にも個人的な趣味として、日常的にラジオ体操を行っている人も多くいますが、一般的にラジオ体操と聞くと、小学校の夏休みの課題であったことを思い出し、ただでさえ暑い夏、しかもせっかくの夏休みなのに早起きしてラジオ体操をしなければならない・・・というネガティブなイメージを持ち続けている人も少なくないと思います。実際、私もそうでした。


中村格子 著 (講談社)¥1260

そんなラジオ体操ですが、最近、若い人、特に女性の間でブームとなっているようです。きっかけは2012年4月に出版された「実はスゴイ!大人のラジオ体操(講談社)」でした。著者であり、スポーツドクターとして新体操の日本代表選手の指導や治療を担当する中村格子博士が言うには、ラジオ体操は全身の筋肉をくまなく動かせるという究極の全身運動で、美ボディー作りには効果的だというのです。本には正しいラジオ体操の仕方の動画DVDが付録としてついており、自宅で簡単に取り入れられることから、ダイエットやボディラインを気にする若い女性の興味を引いたのでしょう。

第一体操、第二体操とも13種類の全身運動で構成されており、全身の関節や筋肉を十分に動かし、前後左右へバランスよく刺激を与える動きとなっています。体操の専門家が結集して構築されたというように、ラジオ体操はどの動きもシンプルで分かりやすく、また体に負担をかけずに体全体を動かせるようになっています。第一体操、第二体操とも1セット3分程度なので気軽にできるので、継続しやすく、日常生活では意識的には使われなくなっている体の部分を適度に動かせるように考えられているのです。動きの順番も徐々に強度が増すように綿密に計算されています。

私たちが日常生活で使っている全身の筋肉はほんの3割程度だと知っていましたか?単純に思えるラジオ体操ですが、その一つ一つの動きを丁寧に行うと、「イタタタタ・・・」と思わずにいられないものです。つまり、その部分の筋肉はラジオ体操のように意識した動きをしないと使われていないということになります。「ラジオ体操なんて・・・」とちょっと小馬鹿にしていましたが、20年ぶりにやるラジオ体操はさすがに30代半ばを超えた運動不足の体には十分すぎるほどの運動となりました。

たった3分間の簡単なラジオ体操、子供の頃は適当に手足を動かしているだけでしたが、それぞれの動きをきちんと正確にマスターすれば、有酸素運動、筋トレ、ストレッチ、バランス運動の4つの効果を同時に得ることができます。

膝や腰の曲げ伸ばし、上半身をねじるなどの動作は全身の筋肉をほぐし、体中に刺激を与え、血行が良くなって基礎代謝が上がります。基礎代謝が上がると脂肪が燃焼しやすくなり、筋肉が鍛えられ、痩せやすい体質になります。また免疫力も上がるので、風邪をひきにくくなり、内臓が動くことで便秘解消にも役立ちます。全身運動のため、体のゆがみからくる肩こりや腰痛の軽減にもつながることでしょう。


株式会社かんぽ生命保険HPより 一部抜粋

こちらのサイトでは、ラジオ体操のそれぞれの動きを図解や動画で詳しく解説しています。(日本語のみ)
http://www.jp-life.japanpost.jp/aboutus/csr/radio/abt_csr_rdo_guide.html

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健康を維持するには、食生活でも運動でも、継続すること。ラジオ体操が85年間も日本国民に親しまれてきたのには、継続できるその要因が十分にあるのではないでしょうか。今ではYouTubeなどでも音源や動画を手に入れることができますが、私のオススメはリアルタイムのラジオ放送に合わせて、毎朝6時半にすること。朝一で体を動かすことで、一日リフレッシュして過ごせることができます。余裕があれば、寝る前にもう一度行うといいですね。

実はこれは軍国主義時代の体育という発想とも関係あるといえますが、逆に個人主義が徹底しすぎて早起きしない、ストレッチもお金をわざわざ払ってジムに行かないとできない・・・と思っている人がみんなで、しかも一番地元のコミュニティーの仲間と一緒に挨拶することも入っているのだから、今の日本にも、外国の人にもオススメのクールジャパンの一つと思って見直す価値はあるでしょう。