日本の伝統食、梅干 ①

7月30日は梅干の日って、ご存知でしたか?
日の丸弁当、おにぎり、巻きずしなど、梅干は日本の食卓に欠かせない食べ物ですが、昔から「梅干しを食べるとその日の難が去る」と言われてきました。その言い伝えにちなみ、和歌山県の梅干専門店が7月30日を梅干しの日にしたそうです。

子供の頃、風邪をひいたりお腹を壊したりすると、母が作るのは決まってお粥に梅干でした。食欲がなくても食べられて、しばらくすると元気になる。不思議な食べ物でした。子供がお粥なら、お父さんはお茶漬け。夕方、会社帰りに仲間と飲みニケーション。仕事の苦労話で盛り上がり、ついつい飲み過ぎ。お酒のシメに食べたいのが、酸味と香り豊かな海苔と梅干が入った梅茶漬け。お父さんはこのお茶漬けで二日酔いにもならず、明日も元気に会社に行くわけです。

このように、わたしたちは日頃から梅干を食べて体調を整えていることがよくあります。事実、梅干は古くから食物であり薬でもありました。梅干は梅の実を塩漬けにして干したものですが、中国原産の梅が日本に伝来したのは奈良時代以前とのこと。最初は鑑賞目的でしたが、その後、梅の実に薬効があることが判明し、薬として梅干が作られるようになりました。

戦国時代、武士たちは兵糧(携帯食)として、胡椒、梅干と乾燥ご飯を持って戦に出かけました。胡椒は疲れたときの気付け薬。梅干は食べるのではなく、見るだけで唾液を出してご飯を食べたのだそうです。梅干はいざというときのための薬だったので、実際に味わって食べることはめったになかったそうです。最近、戦国時代に武士が食べていたものを「武士メシ」といって話題になりました。現代にいたっては、企業に仕えるお父さんたちが飲んだ後に食べる梅茶漬けも、戦い続けるための食事ですから、これも一種の武士メシかもしれませんね。

日本では歴史を通じ、梅干に多くの効能があることがわかってきました。梅干のおにぎりやお弁当は腐りにくいことから、梅干には殺菌・抗菌効果があることは確かです。また、上述のとおり、体調改善および疲労回復効果もありますね。梅の実の果汁を濃縮した梅肉エキスは高価な健康食品として60年も前から販売されており、愛好者も多いようですが、最近では梅の血流や疲労を改善する効果に注目し、梅肉エキスに糖分やビタミンなどの成分を加え、自転車や陸上競技の選手など、アスリート向けの最先端サプリメントに進化を遂げています。梅干には、まだまだ発展の余地があるかもしれません。梅干の成分や効能については、後の機会に詳述したいと思います。

次回は、家庭で簡単に作れる万能食品梅干の作り方をご紹介します。

Reported by 菅原研究所 青池ゆかり