St. Valentine’s Day in Japan ①

金曜日はバレンタインデーでしたね。この1ヶ月程の間、どこのお店も赤やピンクで鮮やかに彩られたポップ広告で大々的に飾りつけたバレンタイン専用コーナーが設けられ、テレビや雑誌ではこぞってバレンタイン特集をくみ、人気店のチョコレートの紹介や手作り用レシピを紹介していました。大手デパートでは1月中旬頃から、バレンタインフェアと称して、世界各国から取り寄せた高級チョコレートの展示即売会となる特設会場などを設けたりもしていました。

このようにメディアの注目度が高いということからも、バレンタインデーが日本人にとって大きなイベントであることが分かります。バレンタインデーは海外から入ってきた文化ですが、日本のバレンタインデーはちょっと変わっていますね。今回は海外の方向けに日本のバレンタイン事情をお伝えしたいと思います。

「バレンタインデーは女の子が好きな男の子へ告白する日」

日本のバレンタインデーの一番の特徴は、「女性から男性へチョコレート、またはチョコレートを使ったスイーツをプレゼントする」ということでしょう。またこのチョコレートを渡す行為が、「あなたを好きです」と愛の告白を意味します。好きな男の子にチョコレートを受け取ってもらえるか。好きな女の子からチョコレートをもらえるか。独身の若者や学生たちにとっては一大イベントなのです。

しかし発祥元の欧米では、男女関係なくプレゼントを贈ります。 恋人同士、夫婦はもちろん、両親や、友達、学校の先生など、身近の親しい人へ愛情や感謝の気持ちを伝えることが、バレンタインデーなのです。またプレゼントもチョコレートに限定されていません。花束やジュエリー、カード1枚のことも。相手を想っていることを伝えるのが重要なのです。

「日本でバレンタインデーが広まった理由・・・」

バレンタインデーが日本人にとって年間行事の一つに確立されたのは、製菓会社の巧みな販売促進キャンペーンによるものでした。

バレンタインデーに、「チョコレートをプレゼントする」、
しかも「女性から男性へ」、
すると・・・「恋が成就する!」

このように、行為を特定することで、バレンタインデーのイメージを固定化することに成功し、流行に敏感な女性の間で広がっていくことになります。当初は面白半分で楽しいイベントであったことでしょう。それがいつの間にか、やらずにいられない行事となるほどまでに日本人の生活に浸透していったのです。

また、企業はあらゆる戦略を使って販促活動に励むものです。それはバレンタインデーも例外ではありません。「バレンタインデー=チョコレート」と定着しているので、関連企業はありとあらゆる手を使って、自社製品の売上を上げる努力をするのは当然のことでしょう。本命チョコだけではバレンタイン戦況に太刀打ち出ません。そこでより多くの人に、より多くのバレンタインチョコを買ってもらえるように試行錯誤がなされてきました。

「本命チョコと義理チョコ」

日本のバレンタインデーにつきもののチョコレートですが、大きく分けて、2つの種類があります。恋愛感情を込めて贈る「本命チョコ」と、感謝の気持ちで配る「義理チョコ」です。

「本命チョコ」と言うほどなので、手も暇もお金も一番かけて用意します。丹精込めて手作りしたり、または高級ブランドチョコを買うなどして、特別であることを相手に伝えるのです。

一方、「義理チョコ」とは好意を持っていない男性に配るチョコレートのことを言います。

「本命チョコ」は限定した男性へ贈るのとは対照的に、「義理チョコ」とはクラスメイトや職場など、日ごろ一緒にいる男性に感謝の気持ちを込めて贈りましょうと広がったのですが、これもチョコレート業界の販促戦略の一つですね。

特に会社などでは、女子社員がお金を出し合って、全男子社員分のチョコをまとめて大量買いするなど、一つの社会現象になったこともありました。義理チョコだからこそ、気軽に誰にでもチョコをあげられる、誰でももらえる、喜ばしい事のように普及したはずですが、同時に義理チョコだからこそ、女性は周りの男性にあげなくてはいけないという状況に発展しました。こうなってしまうと、義務的な感情でチョコレートをあげるのも、もらうのも嬉しくないという反響も出てくる始末。結果、バレンタインデーにチョコを配布するのを廃止する職場も出てきたほどです。

実はこれ、私の主人の職場のことです。10年ほど前はきちんと包装されたチョコレートを持ち帰ってきていましたが、最近はドリンクコーナーに個包装されたチョコが用意されるようになったとか。とはいっても、常に飴やおせんべいなどのおやつが常備されていて、全て毎月徴収される雑費代で賄われているのですが、夫曰く、バレンタインのパッケージになっているだけで気持ちが違うそうです。

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次回も引き続き、日本のバレンタインデー事情について。
「お返しは1ヶ月後のホワイトデーに、予算は1.5~3倍で!?」
「友チョコとMYチョコ」