ひなまつり

寒が穏やかになり、輝かしい日光に春の淡い花の色が美しく映える季節になりました。
季節の移り変わりと共に、街中では行事の移り変わりも楽しめます。1月のお正月が終わると、2月の節分、バレンタインデーと続き、3月が近付くにつれて、ひな祭り関連の商材が目につきますね。

日本には節句と呼ばれ、季節の変わり目に心身の穢れをおとし、健康を願う風習があります。1月7日の七草の節句、3月3日の桃の節句、5月5日の菖蒲(端午)の節句、7月7日の七夕の節句、9月9日の菊の節句の5つで、そのうち、3月の桃の節句は女の子の健康や成長を祈る行事で、ひな人形を飾ることから「ひな祭り」としても知られています。(5月は男の子の節句になりますね。)

桃の節句では元来、紙で作った人形で女の子の体をなでて、その人形に邪悪な気を移し、川などへ流し清める「流し雛」を行っていました。現代でもまだ流し雛の風習を続けている地域もありますが、ひな祭りは江戸時代の頃からひな人形を飾って、鑑賞することに変わってきました。人形の形は変わったものの、女の子の不幸や邪気を身代わりとして受ける役目は同じです。ひな人形はある意味分身のようなもの。なので、大事に取り扱わなければいけません。繊細な素材でできていることもあり、保管方法にも最善の注意が払われます。また処分するときも、きちんと供養しなくてはいけません。

一般的には、女の子が生まれて、初めての桃の節句を迎える時に、母方の父母からプレゼントされ、その子が成人するまで毎年飾り付けます。母親から譲り受けた立派なアンティークのひな人形を飾る場合もありますが、基本的にひな人形は一人にひとつ与えられるべきものです。でも飾る場所の確保や金銭的な事情もあり、必ずしもその通りではありません。ひな人形もバラエティ豊かになり、近年では都市部の住宅環境に合わせて小ぶりのタイプも多く出回っています。

ひな人形は立春(2月4日)を過ぎた天気のいい日に飾り、ひな祭りがすんだ翌日には片付けることになっています。昔から「ひな人形を早くしまわないと、嫁に行きおくれる」と言われているからです。それには、邪気を引き受けたひな人形をいつまでも表に出しておくのはよくないとか、きちんと整理整頓ができる女性に成長してほしいなどの願いが込められています。またお内裏様とお雛様が並んでいる様子が婚礼の儀を表したものであることから、持ち主の女の子も将来「早く片付く=嫁に行く」ように願ったものです。


女児のいない我が家ですが、
次男が幼稚園でもらった ひなあられと、
桜餅を食べて、ひな祭りを過ごしました。

桃の節句をお祝いするときには、ひな人形の周りに桃の花を飾り、ひなあられやひしもち、白酒をお供えします。ひなあられはピンク、緑、黄色、白の四色で四季を表し、ひしもちの緑は健康や長寿、白は純潔、ピンクは魔除けを意味が込められています。また祝膳として一般的なのが、ちらしずしとはまぐりのお吸い物。はまぐりは貝殻が対になっていないとピッタリくっつかないことから、将来、一生を共に添い遂げる伴侶と巡り合い、幸せな夫婦になることを願った、親心が込められています。