沖縄の祖先供養:清明祭(シーミー)

4月中旬の週末になると、沖縄の各地ではシーミーをしている様子がよく見られます。シーミーとは、家族や親族全員で先祖のお墓に行き、綺麗に掃除をして、お供え物を供えて、祖先供養をする日です。


高速入口前の電子掲示板

沖縄文化の多くは、中国の影響を大きく受けていて、現代でも旧暦に沿った年間行事や風習がたくさんあります。シーミーという呼び名も、中国の二十四節気の一つ『清明』の時期(旧暦3月頃)に行うことからきています。『清明』というのは、草木が茂り始め、活気が出てくる時期とされ、中国でも先祖代々の墓を掃除して故人を偲びます。沖縄でもシーミーと旧盆、旧正月は祖先供養の三大行事で、日常的にお墓参りをする習慣はないため、年に一度のシーミーはとても重要な行事となっています。


沖縄のお墓は独特な形をしています。本土のお墓と比べると、まるで1軒の家のようです。門構えがあり、広い墓庭があります。シーミーでお墓に来たら、まず掃除から始めます。草刈をし、ゴミや落ち葉を広い、全員が座れるように場所を作ります。シートを広げて、各自持ち寄ったお供え物を広げます。

先祖供養をする際、沖縄では必ず重箱料理を用意します。中に詰める料理も、かまぼこ、揚げ豆腐、天ぷら、田芋、昆布、ごぼう、こんにゃく、皮付き三枚肉の9品と決まっています。また丸餅もお供えします。天ぷらや煮付けの素材を変えたり、白餅に加えて、あんこ餅やよもぎ餅を混ぜることもありますが、用意するのは奇数個と決まっています。


お水と泡盛と一緒にお供えし、線香をあげ、去った一年の家族の平穏と健康を感謝し、また来る一年も無事に過ごせるよう、先祖に見守ってくれるよう祈ります。
線香が燃え尽きる間は、ご先祖様がお供え物を頂いている時間とするので、その間、集まった家族や親族は歓談します。久しぶりに顔を合わす親族との近況報告などを行います。お線香が燃え尽きたら、重箱の料理を1~2品取り出し(ご先祖様が食べたとの証)、残りを集まった家族で分け合って頂きます。


本土の方が見ると、「お墓の前でピクニック!?」と驚くかもしれませんが、沖縄では「祖先崇拝」という概念が非常に強いので、シーミーはご先祖様と一緒に食事をするようなものと捉えていて、あまり抵抗はありません。祖先崇拝というのは、他の宗教のように神を崇めるのではなく、先祖があるから、今の自分がいることを心に留め、感謝することを忘れないことだと私は教わりました。常に守護神のように見守ってくれたり、正しい道に導いてくれたり、また時には厳しい逆境を与えて、人間として成長するための学びを与えてくれるというものです。


また33年忌を終えた魂は、神の領域に達すると信じられているので、その間、生存している家族は決して供養を怠ってはいけないのです。シーミーに行くと、年配者は必ずといっていいほど、お墓に入っている先祖の話をし、先祖から与えられた命を大事にすること、家族や親族のつながりを大事にすること、毎日、平穏に暮らせることを感謝すること、などと話を聞かせます。

沖縄では、長男夫婦がその家のお墓に入ることになっており、そのため、仏壇も長男が引き継ぎます。お墓の用意をしない代わりに、生前は法事や仏壇事を一挙に引き受けることになります。私たちが毎年シーミーで訪れるお墓には、父の兄(長男)夫婦、両親とその両親、そしてその前の先祖4代が眠っています。この墓へ枝分かれしてきたルーツをたどると、古都首里の家門につながるそうですが、あまりにも古い話なので、家系図は把握できていないそうです。これも毎年恒例、シーミーでの話題です。

私の父は9人兄姉の6男にあたるため、両親(私の祖父母)のいるお墓には入ることはできません。その時が来たら、新たにお墓を建立することになりますが、その後は私の兄(長男)夫婦が入り、兄の長男が入り・・・と続いていくものです。

基本的には自分の親が入っているお墓へシーミーに行きます。もちろん、男側が優先されます。私たちも父方のシーミーへ行き、余裕があれば、母方のシーミーへも行きます。その場合、お供え物も別で用意します。日程が重なって行けないときには、お供え物だけを先に届け、私たちの分まで供養してもらうようにお願いします。

天気が良ければ、だいたい1~2時間は滞在するのですが、この時期の沖縄は雨が多く、お供え物をしたらすぐに退散することもあります。(2013年は朝から大雨のため、両親と兄が掃除をして、線香を上げるだけとなりました。)食事が終わったら、ご先祖様へのお土産という「ウチカビ」いわゆる『あの世のお金』を燃やして、シーミーは終了です。


清明祭(シーミー)はいかがでしたか?
同じ日本でも、沖縄には独特の文化があります。
子供の頃から毎年当然のこととして行っていますが、改めてみると細部にまで深い意味が込められているなと実感します。もっと理解して、次の世代にもつないでいかないといけないなと思います。
今回、沖縄を紹介しているサイトを参考にしました。
沖縄に興味のある方だけでなく、私のように沖縄出身者でも、
ためになるような情報が満載のサイトです。
どうぞご覧になってみて下さい。

沖縄情報WEBサイト 沖縄物語
http://www.okinawastory.jp/special/tokusyu_1002/0600007029.html

作・菅原研究所 田中友美