スーパーソルガムの可能性

先日、インドネシアジャカルタ郊外に、スーパーソルガムから、バイオエタノールを作るプラントをテレビ特番取材するために出かけてきました。

このグランドデザインを手がけているのは、株式会社シスウェーブホールディングスという会社で、案内してくれたのは、杉山さんでした。この会社はつい2年前まではITの会社であり、バイオには、何ら関係なかったというので驚きです。しかもインドネシアで実際に、スーパーソルガム栽培に入ったのは昨年9月なので、その海外進出にかける勇気、情熱にまず驚かされました。

ところでこの聞きなれない、「スーパーソルガムって何?」 と思われるでしょう。これはさとうきびの親戚のような植物で、成長が早く、茎から甘い果糖のジュースを絞れるという特色があります。 今、世界の石油の代替品を植物から何とかしようと動きだしていますが、トウモロコシのように人間や家畜が長年食べ続けてきたものからバイオエタノールをとるのは問題があると、それ以外の植物を探していたところ、注目が集まったのです。

平成20年、東大、名古屋大学、 農工大などが一緒に沖縄でチームソルガムを結成して、研究をはじめたのが、きっかけでした。そこでは交配をくりかえすことで、より多く、より背丈の伸びが早くなる、より糖度が上がる(糖度15度)、 そして植物園自身が発酵をあとでした時により多くの乳酸菌を増加させるような、理想の交配を目指して努力が重ねられ、今日にいたっているのです。

現在30種類の交配実験を行っているフィールドは、インドネシア科学アカデミー所有者の場所です。
シスウェーブの社長宮島さんは、当たって砕けろと、このインドネシア科学アカデミーに共同研究の申し入れをしました。 すると、5年間キャッサバ(タロイモ)からアルコールを作ろうと頑張っていたここのトップから、やはり素晴らしい決断で、OKが出たのが昨年でした。
各国の行政の中でエコの研究はされていますが、民間企業とタッグを組むのに、何年もかけないでGOというのは、日本ではあり得ないことで、これも私はびっくりでした。 今世界ではタピオカブームで、トロピカルドリンクや、デザートでタピオカは大人気。そしてその販売価格もうなぎのぼりになり、とてもアルコールを作る値段とは折り合わないことが証明されていたので、これが幸いしました。

日本チームが開発中のスーパーソルガムは2へクタールあたり、200キロのアルコールを作れる。これだと、ちょうどリッターあたり、50円ぐらいで非常に安い価格で市場に出せる。つまり、バイオエタノールとしての条件をクリアできるというめどがたっていたのです。

1年3回植え替えなしで、根元を切って、放置するとそこからまた何本も新しく目が出て成長する。つまり、1年3回の収穫で、手間は1度。これこそ手抜きで安くあげるコツでもあるのです。

現在インドネシアはオートバイを運転する人が大多数ですが、このガソリンを半分近く政府が補助して、末端価格を50円にしていますが、その補助金が政府の予算を圧迫していたので、安いバイオエタノールは国家プロジェクトとして必須だったのです。

茎を搾汁すると甘いエキスがとれ、それを発酵させると、タンクの中ではアルコールになります。燃料にする時には、焼酎と同じで、これを蒸留すると、エタノールを集めることができるのです。 ガソリンと混ぜて走っても、返って空気がよごれず、燃費は上がるいいことづくめです。

さてこの科学アカデミーでは、次に、このフィールドに完全循環型社会、農村をモデルとして作ることに夢をひろげています。 つまり、ソルガムを絞って発行したカスはバカスと呼ばれるミネラルと糖分がとても多いものですが、EM菌と同じく、ここでも、バカスに菌を混ぜて発酵液を作り、ソルガムの葉っぱや、搾りかすの茎に混ぜ、コンポストにすれば、ほかの作物も有機野菜としてできるし、発酵液を薄めて牛にあたえれば、美味しい牛肉を作れるし、その糞もやはりコンポストにできるので、一切無駄がありません。

今後、発酵液、コンポストがレベルアップすれば、スーパーソルガムの方も現在の6メータ伸びるのが、もっと株数も多く、成長もすごくなるでしょう。もしかしたら、1年3回が4回の刈り入れに増加しているかもしれません。 私にも数年後の結果が手に取るように大成功だとみえてきました。 これが、今まで貧困にあえいでいた熱帯地方の人々が豊かになって行く最短コースであることは、間違いありません。ヘクタール当たりの労働は軽く、収穫は多い。収入源はしっかりと国が買い取りを保証してくれるので、競争からダンピングにさらされることがない。いいことづくめです。それこそインドネシア中から農家がやりたいと手をあげることでしょう。実際にはもうすでにやらせて欲しいという申し入れは多数あるということでした。素晴らしいですね。