イヤシロチ、ケガレチ

イヤシロチとか、ケガレチという言葉を聞いたことはありますか? これは多分1000年ぐらい前から、さらに推測すれば、縄文時代から人々の生活に適した場所と、そうではない場所を区別するために用いられてきた、場所を特定する言葉です。つまり、イヤシロチはそこにいるだけで、アルファー波が出て癒される。 植物、作物が繁茂する。 そこに立てた家はからっとしていて、長持ちする。嫌な匂いがせず、ものが腐りにくく、人も健康を維持できる。

ケガレチは気枯れ地、と読んで字のごとく、すべてのものが腐りやすく、ジメジメしていて、カビや悪い菌が繁殖する……人がそこに住むだけで不健康になり、病気にもなりやすい場所、という定義です。

古来から長く存在する神社、仏閣は昔の人の感覚センサーによりこのイヤシロチに建造されています。だからその建造物はシロアリ駆除などをしなかった時代を経て、現在にその姿を留めているのです。 科学的にそれを測定する方法はイオンの測定です。 イヤシロチはマイナスイオンがプラスイオンよりも多く、バランスでみても、マイナスイオンの方が優位になっています。 私が測定したのは、奈良の薬師寺で、温度20度、湿度50パーセントの9月でしたが、マイナスイオン1000、プラスイオン500でした。

しかし最近では、本来イヤシロチの代表であるべきこうした古くからの神社仏閣の松枯れが全国で問題になっています。 近年20、30年も続いた化学物質、酸性雨の影響で環境全体が酸化し、その結果、本来木々が持っているべき抗酸化力を失いつつあるのです。松葉も本来は抗酸化力のかたまりですが、酸性雨が葉にべったりとついて、気孔もふさがれ、枯れることになり、また地面からも酸性物質を吸い上げることで、古くからの大木も枯れてしまうのです。

出雲大社のように裏日本側にある神社は、中国からの排ガス、酸性雨の影響をもろに受けていて、その障害は深刻でした。 松の木に直接栄養剤を注射器で刺している姿は、病人のようで痛々しいものです。 こうした枯れそうな木々を復活させるのが、抗酸化力テクノロジーです。 一つは松の木のそばに1.5メートルの深さ、直径1メートルの穴を掘り、そこに粉炭150キロを埋めて土を戻します。炭のところからマイナスイオン(電子)が上がってきて、松の木に移動し、それが抗酸化力のもとになります。これで、数ヶ月で松は緑を取り戻します。

また東大寺や三輪山の三輪神社では松の木の根元にEM(有用微生物群)を散布する方法がとられ、老樹齢の松が枯れるのを防ぐことに成功しています。三輪山では山頂から定期的にEMを散布することで、山全体に抗酸化力を行き渡らせることができ、一雨ごとに山全体が蘇る方向に行きつつあるということです。

2月になると日本中の山で杉花粉がまるで砂嵐のように猛威を振るうのも、同じく環境全体が酸化しているからで、杉の寿命が尽き果てる警告も含め、子孫を残すために、必要以上の花粉をまき散らしているのです。この木々の言葉を人間がきちんと読み取って、山全体が蘇るように山の頂上からEMのような抗酸化力微生物を散布すれば、対策ゼロと思われている花粉症すら、抑制することができるはずなのです。

私たちがマクロの科学を知ること、つまり、従来の実験室の中だけで完結していた単純なマトリックスの科学から、複雑系の科学をしっかり理解し、実行することが、これからの地球を蘇らせるためにどうしても必要であると、私は考えます。